テレビ局からの出演依頼が、霊能者、壱心のもとにくる。
だが、出演はいつも断っている。
絶対に出ない。
何年も粘っていた某局もあったが、やはり出演しなかった。
有名になりたくて、とか、お金儲けでやっているのではなく、純粋に不幸な人達を救う。
それが霊能者の使命だと、口にしなくても行動で感じるのだ。
鑑定料が払えない人からは貰わず、逆にご飯を食べさせ、お土産まで持たせる。
気になる人には、電話を入れて、鑑定後もフォローする。
不幸な人生に幸がくるまで見届ける。
依頼人をいつも考えて、生きているのだ。
テレビには絶対に出ない。
理由は、取材拒否する美味しいお店に似ているかもしれない。
月のように、心の闇に光を当て続ける人がいる。
存在は、一部の人にしか見えないからこそ、魅力的なのだ。