ほんのかたち

本を作るヒントを探して取材、資料集めをしています。

ここでは『本の形』になるまで、どんなことをしているか紹介していきます。

本を読んだ後、ご自身でリアル体験をするのもアリです。

 


2021/1/10

久しぶりの『ほんのかたち』は本の構成、プロット(あらすじ)の作成について。

小説の本文に入る前、私は主人公の設定や物語のあらすじを考えます。パソコンを使用して、A4サイズ縦書きであらすじを最後まで書き上げます。原稿用紙に換算すると8~12枚くらいでしょうか。あらすじの他、登場人物の背景は別に作成します。

ノンフィクションになるとノートを使って、全体が見えるように手書きをしながら考えます。書きたいものが決まったら、「本の内容を一言でいえば」という大きなくくりから、書き始めや終わりを考え、全体の構成を練っていきます。構成内容から取材対象者を決めインタビューのテープ起こしをします。取材全員の内容から、この部分にはこの人の話を使おう、というよう起こした用紙にチェックを入れます。

左(上)の写真は2020年に出版した「限界なんてないんだ! KNOW NO LIMITの最初の構成です。現代医学では治らない脊髄損傷。「車いす生活、一生歩けない」と告知されても諦めずに再歩行を望み未来に向かっていく人たちと、現代医学の常識を変えようとする人たちのイメージを、「歩行」「意志」「願望」「道」という項目に絞り込みました。項目から枝分かれした先には、主人公の人生に関わった人たちが、私の知らない主人公の人間像を作ってくれます。

左(上)写真は項目から更に練ったものです。

丸印で囲われた項目は、章となり、前後にプロローグ、エピローグを足しました。

ひとつの章の原稿枚数は平均して40枚くらい。総枚数を300枚以内で仕上げると決めていたので、だいたいの配分をノートに書き入れました。300枚という枚数は、読んでいただく方を考慮した私なりの枚数でした。章から枝分かれした先は、取材させていただいた方々の登場の小項目に繋がっていきます。そこから主人公がどう生きたかが見えてきます。ポイントとなる言葉を赤字で書いていくとどの章でも「戦い」という文字が浮き上がってきました。

崩れた字体でぐちゃぐちゃに書かれた写真は小説でいえばプロットです。小説の書き方は講座で習っていてもノンフィクションの書き方は習っていません。原稿まで仕上げる過程は、どれが正解かなんて誰も教えてくれないなかで参考にしたものがありました。それは主人公が残したノートでした。彼は設立した会社名などを決める時、連想する言葉をどんどんノートに書き出して、頭文字を繋げていくやり方をしていました。彼が設立した会社名の頭文字は「J」と「W」。この「J」と「W」は本構成を作る大きなヒントとなり、最後は章になりました。いま思えば「J」と「W」は脊髄損傷の常識をぶち壊すローマ字だったかもしれません。本をお持ちの方は、もくじをいま一度開いてみてください。ほんのかたちになった証がそこにあります。

2017/6/29 

カバーは本の顔。書店に並ぶ本でカバーが目に入って、手に取ることは一度はあるはず。

なのでカバー作りに関しては、力を入れる部分でもあります。といっても、自分で作れるほど才能はないので、カバーを作っていただける方にお願いをしました『カケルとナオト』のカバーは、この人しかいない! 絶対素敵なカバーを作ってくれる! と思っていた方に依頼。その方は小説の舞台となったトレーニングジムに所属しているデザイナーさんでした。

本のカバーは初めて、といいながらも、いくつかのデザインをいただきました。左(上)のカバーは数パターンのひとつ。一歩を出す足だけの写真に物語の内容が集約されています。タイトルの字体はデザイナーさんのオリジナル。いろいろ迷いましたが最終的に上の写真に決定。見る方によって様々な想像ができるカバーを選びました。一つのところに向かって伸びるライン。ラインは色も違うし、太さも違う。わたしが感じた第一印象は、どこまでも続く道に見えました。

 

後日、デザイナーさんから、聞いた話――

ラインは人を表現している。様々な太さの人生、色があるが、目指しているところは同じ。黄色にしたのは『希望』のイメージだから。希望、まさしく、小説の内容にふさわしい色に仕上がりに大満足。その後、本が出来上がって、デザイナーさんに宣伝用の写真(1枚目の写真)をお願いしたら、粋な演出。

本、立ってます。一人立ち。車いすからの卒業。って意味にも見えます。

 

2016/6/17 

今日のほんのかたちは『おとなの宿題』が出来上がるまで。

映像化される小説を書く。を目指した一冊目のヒントは、友人の一言からでした。

「うちに所属している俳優を使って、感動する、いい作品を作って!」生み出した作品が『おとなの宿題』でした。当時15歳だった売り出し中の女優さんを使い書き上げたハルちゃん。主人公の葉子も所属の女優さんをイメージして執筆しました。残念ながら作品は映像化されませんでしたが、イメージで書き上げた女優さんは、現在、NHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』に出演しています。

                                                                                              

2016/4/23

美浜大橋。地元では通称『ナンパ橋』。

『カケルとナオト』のカケルが網膜剥離と診断された後、気の向くままに行った場所。

左側は海、右側のっぽビルはアパホテル。

夕日が海に沈む見える場所として、美浜大橋には多くの見物人が訪れます。

今年6月、この海の上空で小型飛行機のレースが行われます。

2016/2/23

成田山深川不動のわらじ守り。

新年のあいさつに行ってきました。

深川公園の隣は、富岡八幡宮も鎮座して、不動とお詣りのハシゴができます。

小わらじの絵馬を購入し、祈願を記入して、大わらじにつけます。

カケルとナオト』の主人公が正月初参りに訪れ、わらじ守りに絵馬をつける場面は、ここから来ています。

ちなみに、ここでお参りをしてから、J-Workoutの歩行イベントに毎年出場できたのは、わらじのおかげかも。

 

2016/1/31

書いたものが一冊の本として形になる。

自費出版、文学賞、同人誌など入り口はいろいろありますが、小説として形になるには、読者がいなければ成り立ちません。面白い作品を生み出すため、日々精進しております。

写真は休日の郵便局にて当日消印で送り出してきた原稿です。

去年は二次選考まで行き、講評もいただきました。今年はどこまで残るか楽しみです。

2015/11/28 

野坪の蠅』の続きになる対象者の方を取材。

不幸な出来事を浄化するように、ゆっくりと詳しく話してくださいました。

誰にも打ち明けられない心の闇は、黒く、深く、そして……濃い。

誰にも話せない。でも、話して心を軽くしたい。

そんな悩みを抱えた人たちは、「レトロ屋敷」の扉を叩く人たちで途切れません。

2015/9/23 

J-Workout ヘッド・トレーナーの谷野氏と『カケルとナオト』の巻末インタビューを行いました。

大阪から来られた日程の中、貴重なお時間を割いていただきました。

脊髄損傷の将来、トレーニングジムの未来、創設者の話などなど。

書籍は一部の掲載でしたが、圧縮した濃い内容に出来上がっていると思います。